糖尿病の成因分類

糖尿病は体内の血糖値が慢性的に高くなる疾患です。

体内では血糖値を上げるホルモンと下げるホルモンが常にバランスをとっています。

血糖値を上げるホルモンは成長ホルモンやグルカゴンなど複数あります。

一方、血糖値を下げるホルモンは「インスリン」しかありません。

このインスリンの分泌が低下したり、効果が下がったりすることにより、血糖値が上昇します。

インスリンの分泌・作用の低下の原因は、様々な要因があります。

そのため、どういった原因で糖尿病になるのか分類とともにご紹介させていただきます。

Ⅰ.1型糖尿病

血糖値を下げるインスリンは、膵臓のβ(ベータ)細胞で作られます。

このβ細胞が破壊されインスリン分泌が低下する疾患が、1型糖尿病です。

1型糖尿病の多くは体内の免疫機能異常により起こります。

自分のβ細胞を攻撃する「自己抗体」ができ、β細胞が破壊されます。

1型糖尿病では抗GAD抗体、抗IA-2抗体、抗インスリン抗体、抗ZnT8抗体などが陽性になります。

これらの抗体によりインスリンが出なくなる為、体外からインスリンを補充する必要があります。

Ⅱ.2型糖尿病

日本人の糖尿病の95%がこのタイプの糖尿病です。

元来の素因に加え、食事摂取過多、運動不足等が重なり2型糖尿病は発症します。

したがって、病気の原因である食事や運動に介入する必要が2型糖尿病にはあります。

一方病態ですが、膵臓からのインスリン分泌の低下と、インスリンの効き目の低下(インスリン抵抗性)両方の性質を併せ持っています。

インスリンを分泌させる薬やインスリン抵抗性を改善する薬など、治療薬には様々な種類があります。

その為、患者様個々の病態を見極めて治療する必要があります。

Ⅲ.その他の特定の機序、疾患によるもの

遺伝子異常や、膵臓の疾患、内分泌疾患、肝疾患、薬剤、感染症等で発症する糖尿病です。

発症原因により病態は様々で、患者様個々に対して治療方針が違います。

Ⅳ.妊娠糖尿病

妊娠に伴い発症する糖尿病です。妊娠中の血糖コントロールが不安定だと、母子ともに様々な合併症のリスクがあります。

母体側の合併症として、流産、早産、網膜症の悪化、腎症の悪化などがあります。

一方、胎児側の合併症では、巨大児、新生児低血糖、先天奇形などが挙げられます。

このような合併症を起こさないために妊娠中は血糖の厳重な管理が大切です。

出産後、血糖値は正常化する方が多いのですが、妊娠糖尿病を発症しなかった方と比べ、今後糖尿病を発症するリスクが高いため、最低でも年1回の健診をお勧めしています。

以上が、糖尿病の発症原因による分類になります。

日本人の大多数を占める2型糖尿病として治療されている患者様の中には、それ以外の要因で糖尿病を発症された方が隠れていることが少なくありません。

糖尿病はタイプや年齢、合併症などにより治療目標や、治療薬が異なります。

その為、主治医としっかり相談しながら治療を行う事が重要です。

血糖値でご不安がある場合は当院にご相談ください。

糖尿病のタイプに関して動画で視聴されたい方はこちらをご参照ください。