甲状腺とは
甲状腺は、甲状腺軟骨先端のすぐ下にある小さな臓器です。蝶が羽根を広げたような形をしており、気管を取り囲むように位置しています。あまり聞きなれない方もいらっしゃるようですが、全身の新陳代謝や成長の促進にかかわるホルモンを調節する非常に重要な役割を担っています。当院では、北里大学病院の内分泌代謝内科などで研鑽を積み、日本内分泌学会の認定専門医・指導医資格を有する院長が中心となり、甲状腺の病気の検査や治療を幅広く行っています。
甲状腺の病気について
甲状腺の病気は、甲状腺機能異常と腫瘍性疾患(結節性甲状腺腫)に分かれます。
甲状腺機能異常について
甲状腺機能異常は甲状腺から出るホルモンが上昇したら低下する病気です。ホルモンが上昇する甲状腺中毒症と、低下する甲状腺低下症に分けられます。
甲状腺ホルモンが上昇することにより、暑がり、疲れやすい、だるい、眼球突出、イライラ感、集中力の低下、発汗、手足の震えなど、多様な症状を引き起こします。甲状腺中毒症には甲状腺の機能が亢進するバセドウ病や、甲状腺が何らかの原因で破壊される破壊性甲状腺炎があります。
バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰につくられる病気、すなわち甲状腺機能亢進症を引き起こします。自身の甲状腺に対する抗体が産生されることによって甲状腺が刺激され過ぎてしまい、過剰に甲状腺ホルモンを分泌するようになります。
一方、破壊性甲状腺炎として無痛性甲状腺炎や、有痛性の亜急性甲状腺炎があげられます。自然に良くなる病気ですので特に治療の必要はありませんが、甲状腺ホルモン過剰による症状が明らかなときや痛みが強い場合は、薬を使用します。間違ってバセドウ病と診断され、抗甲状腺薬が処方されてしまうことがあるため、採血検査や超音波検査を用いてしっかりと鑑別診断を行うことが重要です。
甲状腺機能低下症の代表的な病気として橋本病(慢性甲状腺炎)があり、女性に多く見られます。甲状腺ホルモンの量が不足することにより、新陳代謝が低下し、全身が老けていくような症状がみられます。無気力になって頭の働きが鈍くなるので、忘れっぽくなったり、認知症の原因の1つになったりします。寒がりになる、皮膚も乾燥してカサカサになる、体全体がむくむ、眠気が強まる、息切れ、肩こり、月経不順などの症状もよく見られます。甲状腺機能が低下している場合はホルモン剤を補充します。
結節性甲状腺腫について
結節性甲状腺腫は圧倒的に良性のことが多いのですが、一部は悪性です。初期の段階では無症候性のことが多いので、発見が遅れるケースもよくあります。喉の腫れなどに気付き、医療機関を受診したときは腫瘍が相当程度以上に大きくなっていることも少なくありません。当院ではエラストグラフィー(結節の硬さを評価する方法)を含めた超音波検査によって診断を行なっているので、まずはご相談ください。